こんなに
晴天。ここぞとばかりに朝から洗濯機はフル活動。
洗濯物のシワを伸ばしながら、一枚一枚ベランダに干していく。
陽光の下、漂白したワイシャツの白さが一段と映える。
こんな気持ちのいい日は、
引き篭もりのあたしでも外を欲してしまう。
洗濯物を干し終えると、早速散歩に赴く。
うちの近所はとくになんてことは無い住宅街なのだが、
護岸工事されていない小川が流れていたり、
池の亀があまりに多く、岩の上で折り重なって甲羅干ししている
神社があったりと、地味ながら楽しめる。
気の向くままに、住宅街を右へ左へ、奥へ奥へと突き進む。
ふと、よぎった芳しい沈丁花の香りに誘われ、
足を運ぶと、今日がまさに満開のコブシ。
人様の家ということで多少のはばかりはあったが、持っていた携帯での盗撮を試みる。
垣根が邪魔してなかなか、うまく画面に収められない。
かなり本気な感じで、前へ身を乗り出す。
と、道路をほうきで掃いていたオバサンとお約束どーりの遭遇。
片手には携帯、庭に身を乗り出す体勢、オバサンの視線が痛い。
「…あ、どーも」
オバサンは相変わらず怪訝な顔を向けている。
「…コブシがあんまりきれいだったもので」
と、携帯で撮った画像を指し示すと、
「これで写真が撮れるの〜!?すごいわねー、きれいなもんねー」
と、すっとんきょーな声を出し、予想外のところに食いついてくる。
オバサンは何に興味を示すか全くわからない。
まぁ、不審者と思われるよりはいいかと、適当にオバサンに話を合わせ、
和やかな雰囲気でお暇する。
夕方、家に帰るとすぐに夕食をつくり、
散歩ついでに借りてきた「ショコラ」を一人鑑賞。
和やかな雰囲気に拍車をかける。
平和としか言いようのない一日。